経営者は哲学者たれ

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

ビジネスの世界には、多くの経営者から尊敬される、 とても優れた、素晴らしい経営者がいます。

そうした方々とお話をしていますと、 いずれの方も、自分の中にとてもしっかりとした 経営の哲学のようなものの存在を感じます。

また、時にそれは、経営だけではなく、 人生の哲学のように感じることも多々あります。

そうした方々のビジネスを見ていますと、 自分の会社の商品やサービスに、 その哲学を乗せて売っているな、 と感じることがあるのです。

もちろん、お客様に喜んでもらえるような いい製品を作りたい、とは経営者なら 誰でも思っていることだと思います。 でも、それだけでは競合製品との 差別化は難しい。

そこに経営者の哲学を感じる何かがあると、 消費者はその思いをどことなく感じ取って 信頼感を持ってその製品を買うことができる と思うのです。

これは何も製品に限った話ではなくて、 例えば弁護士さんだとしたら、 ただ単に何かを勝ち取るためだけの 教科書通りの弁護というだけではなく、 そこに自分の哲学的な思いが入ることで、 依頼者が安心して任せられる弁護が できているのだと思います。

そうした部分が付加価値となって、 差別化されることで、その製品を買いたいとか、 そのサービスを受けたいという気持ちに つながるのではないかと思うのです。

そうした哲学というものは、 限られたごく一部の経営者だけが持っている わけでは決してないのだと思います。 経営者になりたての頃は難しいかもしれませんが、 10年、20年、30年と経営者として 数多の苦難を乗り越えて来た方であれば、 おそらく誰もが自分の中に経営の哲学 のようなものが見えていると思うのです。

きっと皆さんも、経営において、 重要な意思決定をする時には、 意識しているかいないかは別としても おそらく何かしらの経営哲学をもとにして 重要な決定を下しているのではないでしょうか。

そうした経営哲学を、普段から口にして、 他人に力説している人もいるでしょうし 誰にも言わずに、自分の中でだけ 考えている人もいるでしょう。

ただ、結果を出している経営者の方が 持っている哲学というものは、 おそらく本にまとめて売りだしたら ベストセラーになるほどの価値のある ものだと思います。

それだけの思いを、自社の製品に込めて売ったり、 社員教育などで、社員に伝えているから その会社は大成功を収めているのだと思うのです。

そうした哲学の一端を紹介するとすれば、 私が新卒で入社した船井総研では、 「素直、プラス発想、勉強好き」 が成功する秘訣だ という経営哲学がありました。

船井総研では、その経営哲学を 徹底的に社員に教育していて、 それこそ「素直」というワード一つだけでも、 社員なら誰でも3時間ぐらい語ることができる、 というぐらいに、みんな理解して、 それにまつわるエピソードを持っていました。

さらに、その哲学は、社員だけでなく、 お客様とか、関連する業者にまで伝わっています。 会社に関係する誰もが、 「素直、プラス発想、勉強好き」 という哲学を語ることができる。 それぐらいに浸透していたのです。

もちろん、そこまで自信を持って 自分の経営哲学を人に伝えるということは なかなか難しいかもしれません。

でも、経営者として長い時間を重ねていれば ある時期から経営に対する感覚のようなものは どんどん深まっていきます。

普段からそのことを意識したり、 優れた経営者が本や講演などで伝えている 哲学を学んでみたりすることで、 自分の経営哲学はより研ぎ澄まされていきます。

また、優れた経営者の話だけでなく、 例えば作家の書くエッセイだったり、 スポーツとか芸術とか、あるいは学問とか、 様々な世界で成功した人の哲学に触れてみて、 そのうちの1%でも、自分の哲学の中に 取り入れることができたなら、 その哲学はより洗練されたものに なっていくはずです。

そして、経営者の哲学が洗練されるほどに、 自分の会社のビジネスモデルも 洗練されていくものなのです。

経営者の哲学と、会社のビジネスモデルに 相関関係があるのか、と思うかもしれません。 でも、経営者の哲学は、その会社の軸とか、 核になるものです。 時代の変化とともに、会社のビジネスの 内容は変わっていくかもしれませんが、 会社の核となる部分は変わらないのです。

皆様も、自分の中にある経営哲学を意識して、 あなたの経営哲学はなんですか、と問われたら 即座に答えられるように準備してみてください。

そして、哲学を常に意識し、 より洗練させていくことによって 自社の経営の次元も 上昇させていただけたらと思います。

岡田有史