5年で独立できる人しかいらない

こんにちは

   

経営者マーケティング研究所

代表の岡田有史(ゆうじ)です。

 

私が学生のときに新卒で内定をもらった船井総研は

”5年で独立できる人材以外いらない”

というキャッチコピーで当時採用をしていました。

 

”5年で独立できる人材以外いらない”

という風に言われたので、

そのときに「俺だ!」と思ってみんな入社したわけです。

 

周りの同期は100人近くいましたが、

1万人ぐらいがばっとふるいにかけられて残った100人弱の精鋭達なので

間違いなく5年で独立できるような人材で

凄く強そうで、高学歴でパンチが効いてて

見た目も性格も良い、そして営業力のある人達ばかりでした。

 

でも、すごく面白いなと思うのは

その船井総研の自分の同期の精鋭達を見ると、

ほとんどの人が独立してないのです。

 

5年で独立できるような人材しか集めないし

そういう人しか活躍しないのですが

いかにその人たちから”独立したい心”を奪うか、

(奪うというと変ですが)

が、とても面白くて

 

別に独立させたくないわけではないけど

やっぱり一部上場企業だし、

大して全く働かなくても、大して優秀じゃなくても

ぼーっとしていても1000万ぐらいもらえて

いい家に住めるし、素敵な子と結婚できるし、

丸の内の一番いい場所の高層階に夜景の綺麗なところで毎日働けるし、

世間の評価も高い。

 

そしてなによりコンサルのお客様を見てると、

経営者ってとてもヘビーで

365日20時間労働みたいなのが当たり前なのに

バンバン倒産していくし借金地獄だし

自殺する人もいる。

 

「独立しない方がいいな」と

8割ぐらいの人は思ってしまうのだろうなと思います。

 

洗脳されてるわけでもなく

誘導されてるわけでもないけど

独立の失敗ばかり耳に入るように社内で上手くなっていて、

(もちろん経営陣はわざとそうしてたり、

独立させないぞ!と思っているわけではないのですが笑)

 

なんだかんだみんな独立しないのです。

 

そして自分が入ったその直後ぐらいは

リーマン・ショックも起こったので

独立したらえらいこっちゃ!ということを

しっかり会社も見せていたし

会社としては独立されると困るのでもうそのキャッチコピーもやめました。

 

めっちゃ気合があって稼げるような人が

ガンガン上がっていく仕組みではなく

チーム、組織でやっていく仕組みに会社も舵を切って

会社の売上も株価も上がるように今はなっています。

 

それでも「独立するぞ!」というような

意欲のある人はやっぱり優秀ですし

自分がいたときの

”5年で独立できる人材以外いらない”

というキャッチコピーは

なかなか絶妙で面白いなという風に思います。

 

自分も独立した側で、やっぱり人を雇うときは、

独立できそうなくらいキレキレな人材を探してしまうし

みなさん自分の分身のような、

一緒に仲間としてやっていけるような人材を求めていると思います。

 

絶対独立できないような人ばっかり雇ってても

会社って別に面白くもないし大きくもならない。

 

多少「独立されてもいい」

ぐらいの感じで楽しくワイワイ、

脇も甘くやっていくぐらいの会社が多分楽しいわけで、

 

そう思うとやっぱり当時の船井総研は

すごく面白かったなとおもいます。

 

とはいえ、独立するぜ!と言ってる人が

若干辞めたくなくなるような仕組みぐらいは作っておかないとダメなのです。

 

そう思う中で

今度弊社銀座経営者俱楽部でご講演頂く小出社長は

名古屋で接骨院を10数店舗やっていて、

名古屋エリアではトップ1.2位を争うぐらいのすごい経営者の方なのですが

 

それこそ接骨院というと

全員が独立前提で、自分の城を持つぞ!

自分で接骨院やるぞ!

と思ってやっている人が多いと思うのですが

 

元々離職率が90%だったところが

今はなんと10%になっているそうです。

 

独立せずに今の会社の方がいいや、

と思わせている秘訣は何ですか?

成功してる秘訣は何ですか?

と聞くと、

 

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”間違いなく上位8人の役員幹部が全員誰1人全く辞めてないことだ”

と仰っていました。

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コロナが来たり何かいろんな大変なことが起こって

会社が短期的に赤字になることがあったとしても、

会社が揺らがないのはここなんだ、

というふうに仰っていました。

 

接骨院はコンビニよりも数のよりも多く

全国に5万件くらいあるらしいです。

それほどみんなどんどん独立しているのですが

うまくいかなかったり、倒産したり

ちょっと食べていけなくてアルバイトをしたり

小出さんはそういう周りの現状を見ていて

なんとかできないかと思ったそうです。

 

自分の本当の目的、本当のやりたいことが

”施術”だったり、”人の体を癒す”みたいなことだとしたら

 

独立することによってその本当にやりたいことを

できるのが10%くらい、

本当にやりたいこと以外の

集客、備品管理、業者とのやり取り、人材とかが

90%ぐらいを占めてて

 

別に独立が目的じゃないよね、ということを教えてあげたり

その人が本来もらえる年収の倍ぐらいを与えてあげたら、

意外と独立しない道を選ぶ。

 

そういうことを考えて仕組みを作っていく。

もちろん脅したり、独立どうやってもさせないぞ

とかってやるわけでは1ミリもなくて

 

接骨院をチームである程度の人数で回すと

売り上げが、5倍10倍くらい変わって

それによって社員の手取りも増える。

ちゃんとお互いがフェアになるような

そんな仕組みを作っていく。

 

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経営者が偉いわけでもなくて、

それぞれの役割が分かれることによって

お互いがウィンウィンになるのがチームと、会社だと思うのです。

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小出社長はそれがしっかりできていることが

上位8人の役員が誰1人辞めてない、ということに繋がっていて

それこそが経営する中で嬉しいことの一つだし

そういうチームを作っていくというのが経営の一つだとも思います。

 

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役員幹部とかマネジメント層とか

俺らで会社回してるぜ!

みたいなメンバーを、どう採用して

どうモチベーションをあげて辞めたくないと思わせるか

だと思うのです。

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独立するぞ!と思う人が入っても、

独立しなくてここが一番いいや、と

思うような環境を作ることが良い会社の作り方、

 

特に中小企業にとっての良い会社の作り方なんだなと思います。

 

そういう会社にしていくことがスケールする一つのヒントかなと思うので

今一度、5年で独立できるような人材を雇うのだけど、

その人たちが独立したくなくなるような

仕組み作り、組織作り、会社作り

というのを目指していただくと面白いんじゃないかなと思います。

     

岡田有史