幸福度が高いとなぜ儲かるのか

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

先日、弊社の銀座経営者倶楽部で、 「ホットヨガスタジオLAVA」などで知られる 500億企業、株式会社ベンチャーバンクの、 鷲見貴彦会長に講演していただきました。

講演では、いろいろな気付きや学びを いただきましたが、その中でも、 鷲見会長が何故、幸せな会社を作ろうと思ったのか、 というお話がすごく面白かったので、 皆様にもシェアさせていただきます。

まず鷲見会長がおっしゃったのは、 幸福度とパフォーマンスには相関関係があって、 社員の幸福度が高いと、パフォーマンスも高くなる というお話です。

これは、単に鷲見会長の実感として おっしゃっているのではなく、 研究機関などで、そうした研究がなされていて、 鷲見会長は研究の論文やデータなどを 調べ尽くした上で、経営では、 社員の幸福度を高めることが重要なんだ ということに気づいたのです。

どれぐらいパフォーマンスが高くなるのかというと、 例えば、営業の生産性というのは、 幸福度が高い人のほうが37%高いといいます。 クリエイティビティ、いわゆる創造力に至っては、 幸福度が高い人のほうが300%も高い。

さらに幸福度の高い人は、 年収が高く、昇進が早く、結婚の成功率が高く、 友人に恵まれ、健康で寿命も長い。

こういう傾向がはっきりしていて、 幸福度が高いということは、 いいことづくめなんだと。

このエピソードで重要なことは、 ―鷲見会長が講演で何度も おっしゃっていたことですが―

=================== 成功したから、お金があって、 健康になって、幸せになるわけじゃない。

先に幸せだという感覚があるから、 成功したり、健康になる確率が高くなる。 ===================

重要なのはここなんだといいます。

幸福度が高いからパフォーマンスが上がって、 成功しやすくなって、健康になったり、 友人や良縁に恵まれやすくなる。

それを示した研究結果を見た鷲見さんは、 なるほどそうだな、と感銘を受けて、 自分の会社の社員を幸せにするぞと 思ったのだそうです。

ただ、それを実際に社員に話して聞かせる前に 本当に正しいことなのかなと。 間違っていたら大変なので、確信が持てるまで 調べ尽くさないといけないなと思ったと。

それで、幸福度とパフォーマンスの関係について 述べられている、さまざまな資料を集めて、 引用されている論文や研究結果があれば、 その元データも探して、 その論文で引用されている研究があれば、 それも取り寄せて……。 という具合に、とことん調べ尽くしたと。

また、こうした研究というのは、 ずいぶん昔からされていて、 日本の企業でも実証実験までしている ケースもあったそうです。

例えば、誰もが知っている大企業の 日立でも研究と実証が行われているといいます。

日立では、そもそも”幸せ”とは何か、 という部分から研究しており、 そのために幸福度の測定装置まで作って、 被験者に測定してもらって、 幸福度を数字で出していたそうです。

実証実験では、日立の子会社で 営業用のコールセンターを4ヶ所に分けて作り、 測定装置を使って、幸福度が高いセンターと、 高くないセンターを区分して、 それぞれのパフォーマンスを比べてみた。 すると、幸福度が高いセンターのほうが、 新規の営業受注率が3倍も高かったそうです。

また、同じセンター内でも幸福度の高さは、 時期によって変動があって、 幸福度の変動と受注率の変動は、 完全に連動していたということでした。

さらに、コールセンターのパフォーマンスが 幸福度に強い影響を受けるのだとすれば、 その幸福度とは、何に影響を受けて上下するのか。 様々なデータを収集して研究した結果、 コールセンターの休憩中の雑談の量に 比例していることがわかったそうです。

ここで重要なことは、 雑談が活発な人が個人的に受注率が 高かったわけではなく、 集団全体の雑談が活発だった日に、 集団全体の幸福度が高くなって、 集団全体の受注率も上がっていたのだ、 ということです。

雑談も幸福感も受注業績も、 すべて実は集団現象だったわけです。 そして、一見すると個人プレーに見える コールセンターの業務も、 実は全体とのつながりが存在していて、 集団現象の影響を確実に受けており、 それが個人の能力の発揮につながっていたと。

鷲見会長は、こうした実証の結果や、 研究者の論文などを調べ尽くしたうえで、 成功したから幸せになるのではない、 会社が儲かっていると幸福度が 高くなるわけでもないんだ、 ということを確信したと。

そして、コールセンターでは、 休憩中の雑談が幸せと比例していたけど、 自分の会社には、その会社なりの 幸せと比例する何かがあるはずだと。 それが明確になったならば、 全員が幸せになって、 売り上げがどんどん上がるはずだ、 という結論にたどり着いたのです。

講演では、鷲見会長が、自分の会社の幸福度を 上げてきた方法をいくつも例示してくれました。

重要なことは、コールセンターでは 雑談が幸せとリンクしていたように、 その会社、その職場ごとに、幸福度をあげる キーになるものがあるということ。 それをいかにして見つけ出すか、 ということなんです。

幸せというのは、伝染するといいます。 一人が幸せになると、その友達も幸せになる。 さらに、友達の友達まで幸せになるといいます。

職場で社員の幸福度を上げれば、 周りの社員の幸福度も上がって、 最終的には、その会社が幸せになります。

社員の幸福度を上げることができれば 会社の業績が上がるんだ、 ということをいまいちど意識して、 幸福度を上げる方法を考えてもらたら、 と思います。

岡田有史