儲けのコツはハングリーでバカになれー

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

先日、元旦ビューティ工業株式会社の船木元旦会長に 弊社の銀座経営者倶楽部でご講演いただきました。

その時のお話を、「経営とは信念+執念である」 というタイトルで紹介いたしましたが、 今日は、「執念である」という部分を、 さらに掘り下げて考えてみたいと思います。

まず、元旦ビューティ工業という会社は、建設業界の中で、 金属屋根製品で圧倒的なシェアを持つトップメーカーです。

その成功の原動力は4000件もの圧倒的な数を誇る特許であり、 そのすべてを船木会長が自ら考えているといういいます。 経営者として多忙な船木会長がいつ特許を考えているのかといえば、 夜、布団に入って寝る前に考えるということでした。

もちろんアイデアが簡単に生み出されるわけではなく、 布団に入ってから、夜中の2時、3時、4時まで考え続けても 何も思いつかないこともざらにあるそうです。

考えても考えても何も出てこなくて、 もう無理だ、もうダメだ、と思って諦めて寝る。 すると、朝、目が覚めたときにふっとアイデアが降ってくる。 そんなふうに、命を振り絞るような苦労を積み重ねて 4000件もの特許を生み出してきたのです。

それだけの苦労を重ねることができたのは、 船木会長が持っていた経営への執念であるといいます。

自分は屋根が好きだから、この屋根への情熱を生かして 建設業界の中で金属屋根製品で会社をやっていくんだ、 というビジョンを持つことが経営に必要な信念。

明け方まで特許を考え続けて、夢の中でまで考えて、 それで特許を生み出して会社を成功させるんだ という強い思いを持つことが執念だと言えます。

この執念はどこから生み出されるのかといえば、 船木会長の場合は、一時期抱えていた大きな負債 だったのかもしれません。

船木会長が若い頃、元旦ビューティー工業は 最高で70億もの借金がありました。 当時の利率は9%で、年間に6億円以上、月でいうと 5000万円もの利子を払い続けなければいけません。 これは利子だけの話ですから、それ以上に返済しないと 元金は減っていかないわけです。

経営者にとってはものすごいプレッシャーで、 並の人なら押し潰されて途中でギブアップしてしまうでしょう。 でも、船木会長はそのプレッシャーを執念に変えることで 自分が頑張るための原動力にしたのです。

成功を収めた創業経営者の多くは、このような執念とか、 貪欲な渇望、ハングリー精神を持っていると思います。

アップル社を創業したスティーブジョブズが 講演で語った有名な言葉に、 「stay hungry, stay foolish」 というものがあります。

いろいろな解釈をされている言葉ですが、 シンプルに訳せば、貪欲であれ、バカであれ、 という意味ですね。

船木会長のおっしゃった、経営とは信念+執念である というお話とも相通じる言葉です。

船木会長の場合は、毎日、忙しく車で走り回りながらも、 通りがかるビルというビルの屋根を見続けて、 アイデアを考え続けたといいいます。 四六時中、それこそバカになって屋根のことだけを考えた。 そして、多額の負債を抱えている苦しい状態を ハングリー精神に変えることで、 成功への貪欲な執念を持ったのです。

もう一つ、徳川家康の有名な逸話も紹介します。 戦国時代、若き日の家康は武田信玄と戦います。 「三方ヶ原の戦い」と呼ばれる合戦です。

この戦いで大敗を喫したした家康は、 なんとか自国まで逃げ伸びましたが、 その途中、恐怖のあまり脱糞までしてしまい、 それはもうボロボロでひどいものだったそうです。

普通なら、そんな恥ずかしい過去は消してしまいたい と思うところですが、家康はボロボロで脱糞までした 自分の屈辱的な姿を絵に描かせて残したといいます。

その絵を毎日毎日眺めることで、 決して屈辱を忘れないようにして、 自分が頑張るためのエネルギーに変えていったのです。

もちろん家康は、戦国時代を生き延びながら、 いつかは自分が天下人になるという 強い信念を持っていたことでしょう。 その信念を実現するために必要となる ハングリー精神をもたらしたのが、 三方ヶ原の戦いでの屈辱的な大敗だったのです。

人が成功するために必要なことは、 時にバカに見えるほどの強い信念を持つこと。 その信念を貫き通すには、執念、ハングリー精神が必要。

みなさんも、周りが見たらバカじゃないかと思うほどの 自分だけの信念を見つけてみてください。 そして、それを実現するためにハングリーになれるような、 何か大きな理由付けを探してみてはいかがでしょうか。

岡田有史