もうやんカレー行列の秘密とは

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

来年一発目の弊社主催の銀座経営者倶楽部講演会では、 『もうやんカレー』創業者の辻智太郎社長を ゲスト講師としてお招きします。

その辻社長とミーティングしたときに とても面白いお話を聞きましたので みなさまにシェアさせていただきます。

まず『もうやんカレー』についてですが、 東京を中心に10店舗を展開しているカレーの専門店です。

いま大ヒットしていて、 メディアでも連日取り上げられていますから ご存知の方や、もう何度も食べている、 という方も多いかもしれませんね。

例えば芸能人でも、 タモリさんが毎週通っているとか、 浅田真央ちゃんも通っているとか、 NASAで宇宙食で使われている、とか そういう話がたくさんあります。

これだけのヒットの秘密というのはなんでしょうか。

まず、最近の飲食業界では、 単品特化型というのがトレンドで、 これからの時代に、ブランド化して 生き抜いていく道だと思っています。

例えば、昨年大ブレイクした、 ガトーショコラの専門店、 「ケンズカフェ東京」(株式会社ドメーヌ)社長の氏家健治さん。

弊社、銀座経営者倶楽部にもお越しいただきました。

氏家さんは、もともといろんなことをやっておられましたが、 飲食店の中で一番人気だったガトーショコラのみに商品を絞って、 通販もやるようにしたら、一個3,000円のガトーショコラが 飛ぶように売れだしました。

それこそ、一人が10個単位で購入して、 客単価が3万円になったりとか。 年間3億円の売上で、粗利が8割以上になったとか。 びっくりするほど儲かる商売になったといいます。

それほどまでに、単品の商売というのは 魅力とチャンスがあるわけです。

でも、本当に単品に絞るのは勇気がいります。 もしもコケたら、フォローできませんから、 どうしても、あれも売っておこう、これも売っておこう、 となりがちなわけです。

そこを勇気を出して、 単品商売に懸けられるかどうかが、 勝負の分かれ目なのかもしれません。

もちろん、単品で売ればなんでもいい というわけではありません。 単品にして、そこにすべての力を集約して、 どこにも負けないいいものを作れるかどうか。 これがポイントになるわけです。

「もうやんカレー」のお話に戻りましょう。

もうやんカレーには、 ランチとディナーがありますが、 ランチはビッフェスタイルで1,000円です。 このランチの売上だけで、 1店舗で月に350万売れています。

飲食店で小さなお店だったら、 昼も夜も併せて、全部の売上が 350万ぐらいということも多いですが、 それがランチだけで350万売れていると。

その理由は簡単で、とにかく美味しいから。 有名人の通なファンがたくさんいることからも その美味しさがわかります。

もうやんカレーは抜群に美味しい。 他を圧倒するほどに。

その代わりに、 原価率はめちゃくちゃ高いんです。 50%以上だといいます。

通常の飲食業だと、 原価率は高くても30%程度が限界で、 20%なら利益がしっかり出るぐらい。 50%というのは明らかにやりすぎです。 長続きするはずがない原価率で、 業界のタブーのような数字なのです。

でも、もうやんカレーは、それでやっていける。 むしろ利益がしっかり出て、すごく儲かっています。

カレー単品に絞っているから、廃棄率が低かったり、 もろもろのコストも安いということもあるでしょう。 そして、何よりも、高い原価率で 味にとことんこだわっている。

それがみんなの心を打つんです。 たかがカレー、そう思って食べに来たら、 「あ! こんな領域か」と感動させることができる。

だから行列ができる。 回転がよくて、飛ぶように売れて、 原価率50%でもしっかり利益が出る。

もちろん、原価を高くすれば 誰でもその領域に達するわけじゃありません。

辻さんは カレー 一本に人生を懸けてるんですね。

小さい頃にお父さんが飲食店をされていた。 辻さんの体が弱かったので、 それを助ける意味もあって 自然食品中心の飲食店だったそうです。 そのお店自体は商売として続かなかったそうですが、 飲食店というものに小さい頃から馴染んでいました。

それで、辻さんは大人になって、 飲食店やオーガニックのお店などをいろいろと試していて、 最終的に行きついたのがカレーでした。 いまのレシピを作り上げるのに10年の歳月をかけたそうです。

自分の人生をかけて味を追求した。 スパイスの一粒にまで魂が込められている、 そんなカレーなんです。

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辻さんいわく、 このカレーは自分の分身なんだそうです。

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自分の全ての思いとか、エネルギーとか、 経験値が込められていると。

このカレーの話だけで、いくらでも語ることができる。 三日三晩語り続けることができるだけのものがある。

人にはいろいろな生き方があるけれど、 何か一つのことに集中する、 ということは一つの方法として有効です。

職人というのは、そういう世界ですね。 カレー 一本に絞るというのは、 ある意味その究極形の一つだと思います。

自分の持つ全てのエネルギーを 一つのことに徹底的に集中する。 そうすると、普通の人には たどりつけない領域に踏み込んで、 それが人の感動を呼ぶんです。

みなさんも、その特別な領域に 踏み込んで実践している人の話を実際に聴いて、 その人の醸し出すオーラを 感じ取っていただけたらと思います。

自分の全てを注ぎ込んだ 分身のような商品を世に出す。

これこそが自分が人生をかけるための 本当のビジネスの醍醐味だと思います。

みなさんも、そういう仕事に チャレンジしてみたら、 人生のステージが変わるかもしれません。

岡田有史