ゴルフと経営が似ている理由

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

経営者方ははゴルフを趣味にしている方が 多いと思いますが、そういう方から、 「ゴルフと経営は似ている」 という話をよく聞きます。

そこで今回は、ゴルフと経営はどこが似ているのか ということを考えながら、経営が上達するコツ について考えてみたいと思います。

ゴルフをされない方もいるでしょうが、 他のスポーツなど、努力して上達することであれば 基本的な考え方は同じですので、 ご一読くだされば幸いです。

ゴルフを初めて最初の大きな目標になるのが、 100を切るということです。 そのために夢中になって一生懸命に練習しても、 それでもなかなか100は切れません。

そのうちに、やみくもに練習するのではなく、 必要な技術を一つ一つ磨いていくことを覚えます。 例えば、苦手だったバンカーショットを 集中的に練習して克服するとか。 ドライバーを徹底的に見直してOB率を下げるとか。 アイアンの正確性を磨いてパーオン率を上げるとか。 パターを見直して3パットを減らすとか。

自分でも一つ一つの技術が前とは明らかに違ってきた、 できなかったことができるようになった、 ミスが減ってうまくなっているはず、 そんな自信が持てるようになっても、 実は全然スコアが変わらなかったりします。 相変わらず100の壁も突破できないまま。 自分がやってきたことは無駄だったんじゃないか、 まったく間違っていたんじゃないか、 そんな疑心暗鬼に陥ることもよくあります。

でも、諦めずにコツコツ練習を続けていると、 ある日突然、何の前触れもなく100が切れたりする。 しかも、ギリギリのスコアで必死にやってなんとか、 という感じではなくて、 ごく自然に普段通りプレーしていたら、 いつのまにか余裕で100を切っていた、 ということが起こるのです。

努力したことがすぐに結果に結びつかない。 でも、努力してものにした技術とか経験は 確実に積み重なっていて、ある日突然に、 その効果が結果に表れる日が来る。 こういうところが、ゴルフがビジネスや経営と似ている と言われる部分なのではないかと思います。

例えば営業手法を見直したとか、 採用方法を見直して、新しい社員を雇ったとか、 人事の評価制度を変更したとか、 会社のホームページを全部作り変えたとか、 マーケティングツールを導入したとか、 ビジネスモデルを根本から変えたとか。 こういうことをやって、売り上げがパッと 増えるかというと、なかなかそうはなりません。

何か仕組みを変えた場合、結果出るまでには どうしてもタイムラグがあります。

例えば、会社の理念を社員に伝えることとか、 経営者の思い、パッションの部分を熱く語るとか、 そういうことはとても大事で、もしかしたら 経営していく上で一番大事なことかもしれないけど、 それが結果に結びつくまでには、 5年とか、10年とか、もしかしたら20年ぐらい かかるかもしれないのです。

でも、そういう理念を伝えることや、 会社の仕組み作りをやっていくことは、 確実に会社の中に積みあがっていくことなんです。 すぐに結果に結びつかないかもしれないけど、 そういう積み重ねた基礎がなければ、 本当の意味で業績は伸びて行かない。

何かの波が来て、一時的に結果が出たとしても、 基礎が積みあがっていなければ、波が去ったときには、 また一気に急降下してしまうでしょう。

経営者が現場にいって、営業をガンガンやって 案件を自らこなしていけば、 そのときは売り上げがガンガン上がる。 でも、それだと会社の基礎は積みあがっていかない。 未来のための仕事じゃなくて、 いまの仕事をしてるだけになってしまう。

もちろん、会社が小さいうちは、 経営者が自ら動かなければいけないことも多いでしょうし、 それで売り上げたことは、会社の実績になります。 会社の基礎の基礎になっている。 でも、会社が大きくなって、社員が増えていくと 経営者の個人プレーによる売り上げは、 会社の基礎を積み増していくことにはつながりません。

大勢の社員とやっていくためには、 会社が小さいときとは異なる組織作りが必要で、 それをやらなければ、10年、20年と続いていく 会社の基礎ができていかないのです。

結果がすぐに出ないけど、会社の基礎として 積みあがっていくような組織作りとか、 ビジネスモデルの構築をする。 10年後、20年後の未来図がちゃんと見えていて、 確信と哲学を持って前に進んで行くこと。 それをやるのが本当の経営者の仕事です。

ゴルフの話に戻りますと、 一つ一つの技術を高めていく努力をすること。 いまはまだ100を切れない腕前だとしても、 目標にするのは、70台で回るような シングルプレーヤー。 自分が、上達して70台で回っている未来を 想像して、そのために必要な技術を 一つ一つ磨いていく。

そうして技術の基礎を積み上げていくと、 いつか100を切ったときに、 それまでの苦労がウソのように、 100なんて簡単に切れるようになって、 気付いたら90も切っていて、 80を切ることが具体的な目標になるぐらいに 突然に上達する日が来るのです。

私自身、ゴルフを始めてから7~8年の間は 凄くへたくそで、全然上達しない期間が続きました。 でも、諦めずに続けていたら、ある日突然に 上達する瞬間がやってきました。

結果が出ない期間が苦しいのはゴルフでも 経営でも同じです。 どうしても、目の前の結果が欲しくて、 そのための仕事をしてしまいたくなる。

でも、そうじゃなくて。 未来を見据えて、積み上げていくことを考える。 仕組みがちゃんとできているのかを見ていく。

いまの結果のために一次関数的な仕事じゃなく、 長期的なビジョンに立って、血となり肉となるような 仕組み作りに目を向けて。 それ以外の仕事は全部部下に任せてしまって、 自分は未来のための仕事以外やらないんだ と決めてしまうぐらいの気持ちで。 自分にしかできないという仕事を見つけて やっていくことが、会社を本当にステージアップ することにつながるのではないでしょうか。

ゴルフをしないからわからない、 と言う人もいるかもしれませんが、 どんなスポーツにも通じることだと思います。 あるいは、受験勉強の偏差値を上げるとか、 英語を勉強してTOEICの点数を上げるとか、 ダイエットで根本的に太らない体を作るとか、 どんなことでも一緒なのかなと。

経営していて、目の前の売り上げに 一喜一憂するのではなく、 本当に必要なことをやれているのかを考える。 会社の超長期的なビジョンを立てて、 そこに自分の経営哲学を盛り込んでいく。

そういうレベルにまで達することができたなら、 経営者としてのステージが何段階も上がって、 経営者としての幸せ度が高まるのではないか、 そう思います。

岡田有史