売上を上げ過ぎない経営

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

みなさまは『船橋屋』という、 くず餅屋さんをご存知でしょうか。

白い半透明のくず餅に 黒蜜ときな粉をかけて食べるあれです。 おみやげ物としても大変有名ですから、 そういえば、そんなくず餅を 頂いたことがあったな、 という方も多いかと思います。

3月27日(水)に弊社の 銀座経営者倶楽部で行う講演会は、 この船橋屋の渡辺雅司代表取締役社長に お越しいただきます。

船橋屋は、江戸時代、文化二年(1805年)創業で、 現代まで214年続く伝統的なくず餅屋さんです。

『くず餅』と聞くと、関西の葛粉を使った菓子を 思い浮かべる方もいるかもしれませんが、 船橋屋さんのくず餅は、乳酸発酵させた小麦澱粉を 蒸し上げて作られたものです。

発酵させたことでほのかな香りと酸味があり、 独特のしなやかな食感と爽やかな後口で、 関東の菓子の名品として親しまれています。

本店は東京の亀戸天神前にあり、 地元の方は親子何代にもわたるファンも大勢います。 また、東京を中心に29店舗を展開しており、 手土産の定番品として広く親しまれています。

昨年はJR東日本が行う 「おみやげグランプリ2018」で 総合グランプリを受賞しました。

また、伝統的なお店でありながら、 現代的な経営をされており、 昨年はテレビ東京の『カンブリア宮殿』に渡辺社長が出演して、 経済界からも大きな注目を浴びています。

船橋屋さんのくず餅は、 江戸の昔からの製法を守り続けていて、 完全無添加であることが特徴の一つです。

普通、お土産というと、 消費期限がある程度長いほうが便利ですし、 消費者もそういった商品を選びがちです。

しかし、船橋屋のくず餅の消費期限は わずか2日です。 保存料などは決して添加しませんし、 品質が変わってしまう恐れがある、 真空パックや脱酸素剤も使用しません。

便利さよりも、品質を最優先していて、 それがお客様にも受け入れられて、 絶大な信頼と支持を得ているわけです。

船橋屋さんでは、あんみつやところてん などの人気商品も多数ありますが、 看板商品はやはりくず餅です。

くず餅の品質に命を懸けて作り続けている。 この一つの商品に徹底的にこだわるという経営手法は、 近年のトレンドと言えます。

このメルマガでも、ワンシング経営という キーワードでご紹介してきましたし、 銀座経営者倶楽部の講演には、、 ガトーショコラ一本にこだわり続ける 『ケンズカフェ東京』の氏家健治社長、 こだわり抜いたカレーで芸能人御用達、 マスコミからも大注目されている 『もうやんカレー』の辻智太郎社長、 金属屋根製品で数千もの特許を持ち、 圧倒的に業界をリードする、 元旦ビューティー工業の船木元旦会長 といった、そうそうたる経営者の方々に お越しいただきました。

そして今回は船橋屋でくず餅にこだわり続ける 渡辺社長にお越しいただき、 伝統的な会社ならではの苦労や、 成長を続ける秘訣について、 お話いただこうと思っています。

渡辺社長は、

============ 売上を上げ過ぎない経営 ============

とカンブリア宮殿でおっしゃっていました。

私もコンサルでよく言うのですが、 超低成長安定、という考え方があります。 成長率が年間10%を超えないように、 あえてコントロールしながら、 ゆっくり、ゆっくり成長を続ける。

決して急成長することががダメだ というわけではありません。 業種によってはチャンスを迎えたときに 一気に急成長を狙ったほうがいい場合もあります。

しかし、急成長には反動がつきものです。 急成長の後には急降下を起こしやすい。 タイミングを見極めて次の商売に 移行していけるようなビジネスモデルであれば 急成長は大きな武器になりますが、 伝統菓子の世界のように、 それこそ親子何代にもわたって 何十年、何百年も親しまれ続けるためには 無理な急成長を狙わずに、 ゆっくりと成長を続けるモデルが マッチする場合もあるということです。

伝統菓子の世界だけではなく、 物作りの世界や、サービスの世界でも、 一時の流行ではなく、長期にわたって 親しまれるような商品を作るなら、 超低成長安定のビジネスモデルが マッチする場合も多いと思います。

みなさまも、自分の会社の商品の質を見極めて、 超低成長ビジネスモデルがマッチするかもしれない、 と感じられたら それを意識してみられるのも面白いかもしれません。

成長させすぎないように気をつけて経営しているのに それでも逆に「あの会社は成長していて凄い」 と言われるものです。

こんな時代だからこそ 短期的な成功よりも 長期でゆっくりゆっくり 長く続くことを重視してみる。

経営や人生の在り方を 今一度考えてみても面白いかもしれません。

岡田有史