優秀さよりも嗅覚を磨け
こんにちは
経営者マーケティング研究所
代表の岡田有史(ゆうじ)です。
弊社、銀座経営者倶楽部でご講演いただいた、
株式会社LIBの創業社長、松本洋介さんのお話から、
優秀さよりも嗅覚を磨くことが重要だ、
という考え方をご紹介します。
株式会社LIBは女性向けのキャリア・転職支援と、
企業向けに女性採用の支援を行う会社で、
社員数は120人、登録ユーザー18万人以上を抱える、
業界トップクラスの企業です。
創業社長の松本さんはリクルート出身で、
その後、トレンダーズ株式会社に経営参画し、
会社を成長させて株式上場を果たされた実業家です。
トレンダーズ時代の松本さんの部下の中には、
仕事をしながら起業して、大成功して、
あっというまに5億、10億の資産を作った方が
何人もいたそうです。
では、そういった成功者たちは
どんな人だったのでしょうか。
多くの人が抱く、成功した経営者のイメージは、
頭が良くて、切れ者で、勉強もしていて、
天才、秀才タイプの人というものだと思います。
簿記の資格を持っていて、経理も税務も
なんでも自分でできる人とか、
大発明ができるほど優秀な技術者とか。
しかし、松本さんの部下で成功した人たちは、
決して、そういうタイプの人ではなく、
一見すると、どこにでもいる普通の人だったと言います。
凄く優秀というわけではなく、みんなまだ若いので
経験豊富ということもなかったそうです。
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でも、一つだけ成功者に共通した特徴があって、
彼らはビジネスチャンスを見つける嗅覚だけは
凄く敏感だったそうです。
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具体例として、松本さんは、
当時ブームになったキュレーションメディアの
ビジネスを挙げています。
キュレーションメディアというのは、
ニュースや人気商品などの情報を集めて
提供するサイトのことで、
いわゆる、まとめサイトと言った方が
わかりやすいかもしれません。
このビジネスは、歴史的には10年ほど前から
登場していますが、それが2015年ぐらいに
ビジネスとして注目されるようになって、
そこから一気に大きく広がりました。
松本さんの部下たちは、
キュレーションメディアが注目され始めた段階で、
大流行の兆しを嗅ぎ分けて、その流れに乗ることで、
あっという間に何億もの資産を築いたのだそうです。
松本さんは、ビジネスで重要なことは、
どのマーケットに、どのタイミングで、
どういうテーマで入るかなんだと言います。
松本さんの周りにいる成功者で、
本人が凄く優秀で、その能力を生かして
勝ち上がった人というのは、あまり見たことがないと。
だから、経営者本人の能力とか実力の差というのは
成功の要素としてはあまり大きくなくて、
タイミングが成功の大きな要素なんだと言います。
キュレーションメディアで言えば、
ジャンルを決めて、ライターを集めて、
あとは回すだけで成功する。
でも、ブームが終焉したあとでは、
どんなに優秀な人を使って、
質の高い情報を提供したとしても、
一切儲からないわけです。
タイミングや時流を見極めるということは、
起業したあとも重要になってきます。
ブームが去ったものにいつまでもしがみついていても
利益を出すことは難しいでしょう。
例えば、教育事業を柱に成長を続けていた
ベネッセコーポレーションは、この数年で
ピーク時には5000億あった時価総額が、
2000億ぐらい下がっています。
通販事業のベルメゾンを展開する千趣会も
時価総額で100億を切っていた時期もあるほど
近年苦戦しているそうです。
この2社に共通していたのは、
世の中のスマホシフトの流れに
乗り遅れてしまったことだと言います。
ヤフオクが勢いを失って、
代わってメルカリが躍進したのも、
メルカリのスマホ一つで手軽に出品できる
という部分が世の流れにあっていたことが
最大の理由だと考えられます。
スマホを使って幅広いユーザーを取り込む、
ということが現在のビジネスの大きな流れに
なっていると松本さんは言っています。
ユーザーの使っているツールがガラッと
代わる瞬間というのは、ビジネスのゲームの
ルールとか質もガラッと変わります。
そういうタイミングでは、ガラガラポンで、
誰にでもチャンスが転がってくるんだと。
コスメ商品のランキングサイトで躍進した
アイスタイルなどは、まさにこのチャンスを
つかんだ一例です。
アイスタイルの強みというのは、個人の志向の
情報をデータとして持っていることだと
松本さんはおっしゃっています。
何歳の人が、どんな商品に興味を持っていて、
いつどういう広告を見て、買っているのかとか、
どこでどんな口コミをしているのか、
という個人情報を全部持っている。
その情報のデータこそが一番の資産であり、
それを使って事業を展開しているんだといいます。
情報というのは、昔からビジネスの世界では
重要なアイテムの一つとして考えられてきましたが、 あくまでも軸になるビジネスが存在して、
それをサポートするためのツールが情報でした。
しかし、現代のビジネスでは、
情報を集積したデータそのものが
ビジネスのメインの材料になり得るわけです。
明らかにビジネスの戦い方が変わってきている
と松本さんはおっしゃっています。
優秀な経営者になろうとするよりも、
自らの嗅覚に磨きをかけることで、
世の中の流れを見極めて、ビジネスチャンスをつかむ。
そういう目線に立ってみることも
面白いのではないかと思います。
岡田有史