質よりも量だ

こんにちは

 

経営者マーケティング研究所

代表の岡田有史(ゆうじ)です。

 

弊社、銀座経営者倶楽部でご講演いただいた、

株式会社LIBの創業社長、松本洋介さんの

お話の第3回目のシェアです。

 

株式会社LIBは女性向けのキャリア・転職支援と、

企業向けに女性採用の支援を行う会社で、

社員数は120人、登録ユーザー18万人以上を抱える、

業界トップクラスの企業です。

 

創業社長の松本さんはリクルート出身で、

その後、トレンダーズ株式会社に経営参画し、

会社を成長させて株式上場を果たされた実業家です。

 

さて、今回は松本さんがリクルート時代の

ホットペッパーセールスのお話をシェアいたします。

 

ホットペッパーとは、主に飲食店の情報と

割引クーポンを掲載した無料のタウン情報誌で、

このシリーズの第1回では、上に立つ松本さんが、

ホットペッパーのビジネスモデルを

パッケージ化して再現性を持たせて成功する

というお話でした。

 

今回は松本さん自身が、まだ一営業マンとして、

ホットペッパーを売り歩いていた時に、

同僚たちをぶっちぎって、

圧倒的なトップセールスを上げた、その方法です。

 

ホットペッパーの売り込み先は街の飲食店で、

基本的に飛び込み営業のスタイルになります。

その世界に初めて参加した松本さんは、

最初から営業のコツや、ツボが

わかっていたわけではないそうです。

 

何もわからない松本さんが最初にやったこと。

それは単純に、とにかく数多く飛び込むこと。

質より量で勝負したわけです。

 

もし営業の世界が打率の勝負なら、

経験値のある先輩には当分敵わないでしょう。

でも、営業は打率じゃなくて安打数の勝負です。

より多く打席に立てば安打数は稼げます。

仮に先輩の打率が3割で、自分が2割だとしても、

倍の打席に立てば安打数で先輩を上回れる。

 

当時、会社では1日に平均20件の営業先訪問が目標だった。

でも、新人の松本さんは1日に60件飛び込みをしたそうです。

別に件数を多く回るのにコツとかはなくて、

昼休みも返上で気合いと根性で数を稼いでいたそうです。

 

なんだ根性論なのか、と思うかもしれません。

でも、松本さんは決して根性論の方ではなくて、

むしろその真逆の発想をする方なんです。

 

松本さんはビジネスをゲーム感覚で捉えている

ところがあるそうです。

まだ他人が見つけていない自分だけの攻略法を

見つけることができれば勝てるゲームである。

だから、攻略法を見つけるまでは、

気合いと根性で数をこなすんだ。

人よりも多く数をこなしていれば、

それだけ多くの経験を積めます。

経験を積み重ねながら攻略の糸口を探すわけです。

 

無理に数をこなさなくても、

攻略法を考えることはできるかもしれません。

でも、松本さんがおっしゃったのは、

 

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「量は質に変化する」ということでした。

よく机上の空論、というように、

頭の中で考えるだけではダメなんです。

現場に出て、実戦の中に身を置きながら、

毎日、毎日考え続けるからこそ、

実戦的なアイデアが生まれるのだと思います。

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人の3倍の数をこなし続けた松本さんは、

だんだんと攻略法の糸口をつかみ始めます。

まず、松本さんが訪ねる店のほとんどは、

すでに先輩営業マンが回っていて、

断られている店でした。

まれに、オーナーが変わったりとか、

新規オープンのお店を見つけることがあって、

その時は、あっさり契約が獲れたそうです。

 

なるほど、新規オープンの店が狙い目かと。

でも、さすがにそれは先輩たちも気づいていて、

みんな街に出ると、新店がないかどうかを

目を光らせて探してるわけです。

 

だから松本さんは、このビジネスの攻略法は、

他人よりも早く新店の情報をキャッチする

方法を見つけることなんだと考えました。

 

そこで最初に思いついたことが、

新店はオープン前に従業員を募集する。

だから、求人情報をチェックして、

オープニングスタッフを募集している店を

見つけてアプローチするという方法でした。

 

この方法は一定の効果を上げましたが、

自分がやり始めてみると、先輩の中にも

同じ方法をしている人がいることに気づいたそうです。

あの先輩はあんまり飛び込みしてないのに、

受注率が高いと思ったら、そういうことかと、

納得したそうです。

 

松本さんは、さらに考えたそうです。

新店をキャッチするもっと別の方法はないかと。

そこで編み出したのが、店舗改装中の工事現場を

チェックする方法でした。

 

内装工事をしている現場を見つけたら、

工事の看板を見ると施主の名前が書いてあります。

有名なチェーン店なら、それだけで新店情報がつかめる。

看板でわからなければ、工事現場の人を捕まえて、

ここは何ができるんですか、と聞いてみると、

ラーメン屋ができるんだよとか、教えてくれるそうです。

 

そうしたらオープン前の、

まだスタッフも募集していない段階で、

店にアプローチすることができるわけです。

むしろ早すぎて、すぐに契約が獲れるわけではないけど、

最初につばをつけておけば、

あとは時期を見て連絡すればいいわけです。

 

この方法を見つけたことで、

松本さんは打率のいいバッターになったそうです。

気合いと根性で毎日60件飛び込まなくても、

圧倒的な打率で、安打数でもトップを走れるわけです。

 

ただ、そうやって圧倒的な成績を出し始めると、

あいつどうやってるんだと話題になって、

そのうちに、工事現場をチェックしていることが

バレてしまって、そのあとはライバルたちも

工事現場をチェックするようになったといいます。

 

そこで松本さんが最後に行きついた攻略法が、

他の事業者との情報交換という手法でした。

 

東京などの都市部では、新規オープンといっても、

居抜きで物件を買って、ちょっと改装して

営業するほうがはるかに多いわけです。

居抜き専門の厨房機器とかの

リース会社みたいなものもあります。

 

松本さんはその居抜き専門会社の

営業マンと懇意になって、

互いの情報を交換できるようにしたそうです。

松本さんは居抜き物件を買って

オープンする店の情報が欲しい。

居抜き会社の営業マンは、

閉店する店の情報が欲しいわけです。

 

ホットペッパーの契約をしていた店が

閉店するときは、当然契約を終了しますから、

松本さんは閉店情報を持っています。

だから互いの欲しい情報を

交換することができたわけです。

 

他人には簡単に真似のできない、

この方法にたどり着いたことで、

以降は、凄く楽にトップ営業を

続けることができたといいます。

 

質より量で60件の飛び込み営業をこなしたのは、

ビジネスの攻略法を見つけるためでした。

そして、ただ攻略法を考えるのではなく、

実戦の中で攻略法を探すということ。

量が質に変わるんだ、という考え方。

これが松本さんのキャリアの原点となる

成功の秘訣だったわけです。

 

みなさまも是非、参考にしてみてください。

 

岡田有史