経営でイラっとしたときのコツ

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

経営者として仕事をされていると、 イラっとくることが誰にでもあるかと思います。

何かとんでもないことをされて激怒したり、 責任を追及しなければいけない、 というほどではないけれど、 例えば、お客様から、 それまでの付き合いとか経緯を考えずに、 突然、値下げ交渉されたりとか。 何かちょっと理不尽だなと思うような 要求をされるとか、クレームを言われるとか。 そういったことがあるかもしれません。

そういうちょっとイラっとするようなことが、 5個とか10個ぐらい重なってくると、 「ハインリッヒの法則」と同じようなもので、 1つ1つは大したことがなくても、 それが積み重なることで、大きなストレスになったり、 そのうちの1つが仕事上の重大な障害になる ということは本当に多いものです。

ですから、こうしたちょっとしたイライラを どう減らすかということが、 凄く大事なことになってくるわけです。

では、どうやって対処していけばいいのでしょうか。

イラっとした時に、人がとる対処法は、 大きく分けますと4つあると思います。

1つ目は「感情的になって指摘する」。

イラっとした感情をそのまま相手に ぶつけてしまうという方法です。

君がやっていることは、よくないよと。 これこれこういう理由でいけないんだ、 というふうに相手に指摘する。

気分的には一番楽になりそうですが、 意外に解決しないことが多い方法です。

なぜなら、多くの人は理屈で正しいか 間違っているかを考えるのではなく、 単純に好きか嫌いかで考えているからです。 そういう人に対して、理屈でどれだけ説明しても、 理解されることはありません。 相手は決して考えを変えないし、 「それで変わることがあるとすれば、 互いの人間関係が悪くなるということだけだ」 という格言があるぐらいです。

2つ目は「何も言わずに去る」。

イラっとしても、その気持ちを相手に伝えず、 かといって、相手を許すことは気分的にできない。 だから、その人との関係を切る、という方法です。 ストレスを溜めない、という意味では 効果的な方法かもしれませんね。

3つ目は「許す」。

イラっとしても、そのことは我慢する。 さらに、相手との関係は切らずに、 気持ちの上では相手を許す、という対処方です。

聖人君子ではありませんから、 完全に許すということは難しいかもしれません。 気持ちの上でモヤモヤしたものが残るかもしれない。 それでも、関係を切るのはもったいないと考える。

なぜなら、ビジネスで最後にものをいうのは、 やっぱり人と人とのつながりなんです。 この人、嫌な人だな、許せないな、 と思っているような人でも、 意外にその人からのつながりで 新しいビジネスチャンスが開けることがあります。

あるいは、ビジネスじゃないけど、 その人のつながりからの紹介で、 いい人に巡り合って結婚に至ったとか。 そういう話をよく聞ききます。

だから、長い目で見たら理論上は、 関係は切らないほうがいいということになります。 感情的には嫌かもしれないけど、 別に関係を続けても具体的なデメリットはありません。 何か嫌がらせをされるとか、仕事上に不利益がある というなら話は別ですけど、 感情的に嫌だな、というだけなら、 関係を続けておいたほうが、 何かしらのチャンスが芽生えるかもしれないのです。

もちろん、何のチャンスも生まれないかもしれません。 でも、そういう相手が10人いて、 その10人と関係を続けていたら、 そのうちの一人から、何か案件をもらったりとか、 人生を変えるようなギフトがあるかもしれないのです。 多くの人とつながっていればいるほど、 そういう確率は高くなるわけです。

アメリカのシボレーの営業で、 ギネスブックにも乗った 世界ナンバーワンのセールスマン、 ジョー・ジラードという人は、 【250の法則】ということを言っています。

人間は、どんな人でも250人の他人と、 何かしらの形でリーチしていると。 だから、一人と関係を切るということは、 その先にいる250人との関係を切ることであると。

去っていく人を追いすぎる必要はないけれど、 自分から切るのはもったいない。 その先に250人がいるんだ、ということを 意識してみるのも面白いかと思います。

4番目、最後の対処方法は「学んで生かす」。

相手を許す、という段階から、 さらに一歩進んで、 この経験を活かしてしまおうという発想です。

イラっとさせられることがあったら、 自分がなぜイラっとしたのかを考えてみる。 自分の感情の動きを大事にするんです。

それは、自分のことを軽く見られた、 という怒りだったり、 自分の中にある弱い部分を突かれたとか、 あるいは現実的にキャッシュフローが困るとか、 何か、イラっとした原因があるはずです。

それをしっかり分析することができれば、 自分の会社とか、自分自身の中にある 弱点とか、改善点のようなものが 見えてくるかもしれません。 イラっときた、ということを、 ビジネスの神様からのサインだと考えるのです。

売り上げがもっとたくさんあったり、 キャッシュがいまの10倍あったら、 もしかしたら何も動じないかもしれない。 イラっとすることもないかもしれない。 だとすれば、イラっとした気持ちを、 よし、もっと会社を成長させるぞ、 という情熱に変えることができるかもしれません。

あるいは、お客様じゃなくて、 社員にイラっとしたとき。

こいつ、全然動かないな、レスも悪いな、 という社員がいたとしたら、 その社員にイラっとするのは、 そういう質の悪い社員が集まって来てしまう、 自分の会社の今のレベルに対して 本当はイラついているのかもしれません。

それなら、もっとレベルの高い社員が 自然に集まってくるような会社にしてやる! もっと圧倒的に魅力的な会社にしてやる!! という意欲につなげていけばいいのです。

もちろん、そんなに都合よくいかない、 どうやっていいかわからないし、 と思うかもしれません。 でも、そこを目指していかなければ 何も変わりません。

目標を持って、もう1回、いま一度、 何度でも、自分自身を見つめ直していけば、 どこかに答えがあるかもしれません。

すべてのイライラは、 すべての成長のヒントであり、 次に自分が向かうべき場所を 指し示すサインなんですね。

もちろん、すべてのイライラを 学びと成長に変えていこうと思うと ちょっと気持ち的に負担だし なかなかそんなに完璧にするのは 難しいかもしれません。

ストレスになって、体調に悪影響が出るほどなら、 関係を切ることが必要になることもあります。

でも、イライラのうちに何割かだけでも、 学びに変えたり、活かしていくことができたなら、 いままでにない世界が生み出されるかもしれません。

最後にもう一度4つの対処方法を挙げます。

1つ、感情的に指摘する。 2つ、言わずに関係を切る。 3つ、許して切らない。 4つ、学んで活かす。

どの対処方法を取るかはケースバイケースですが、 4つの対処方法があるということを 普段から意識しておくだけでも、 経営の選択肢が広がるのではないでしょうか。

岡田有史