今年は役員候補を10年かけて口説こう

あけましておめでとうございます!

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

今年もよろしくお願いします!!

みなさま、お正月にはどんなことをされましたか。 今年の事業のビジョンを 改めて考えた方も多いのではないでしょうか。

事業のビジョンを語る上で どんな人が幹部として参画してくるのか ということ抜きには考えれられないと思います。

例えば、 「この人は本当に凄いな」 と思う人に出会うことがあります。

その人が経営者であれば、 自分の目標にしたり、 お手本にすればいいわけですが、 役員や管理職だったらどうでしょうか。

うちにきてもらえないかな、 この人が入ったら一気に変わるのにな、 そう思ったことがありませんか。

でも、そんなに都合よく うちに来てもらえるはずもないと思って、 声も掛けずに諦めてしまうことも多いでしょう。

あるいは、冗談めかして誘ってみたけど、 笑って誤魔化されて、それで終わり。 それ以上のアプローチはせずに、 そこで諦めてしまうとか。

だけれども、会社にとって、 キーマンとなる存在がいるかいないかでは、 本当に大きな違いが出ます。

特に社員100人ぐらいの小規模の会社だと その効果は劇的なものがあって、 その人がいるだけで、 会社の雰囲気が、社員のやる気が 目に見えて違ってくる。

明らかに勢いが出て、 その雰囲気というのは社内だけではなく、 取引先や出入りの業者にまで影響して、 入って来る案件もどんどん変わってきて、 注目されて、メディアにも取り上げられて、 ますます社員がやる気になっていく。

たった一人のキーマンの影響で、 そういう好循環が生まれることが 本当にあり得るのです。

================== だから、自分の会社のキーマンと なり得る人に出会ったら、 本当の本気で口説くべきだと思います。 ==================

とはいっても、 それは簡単なことではありません。 ちょっと飲んだときのついでに、 軽い気持ちで口説いたぐらいでは、 人の心は動かせないのです。

有名な例でいえば、 それこそ三国志の「三顧の礼」というのがあります。 三国志・劉備玄徳が諸葛亮孔明を 自分の国の軍師として口説き落とすエピソードで、 目上の者が目下の者のところに 三度、足を運んで頭を下げた、 という故事成語にもなっています。

あるいは、現代の例でいうと、 高校野球の超強豪校で有名な、 大阪桐蔭の西谷監督は、 これだと思った選手を口説くのに、 自らが1年間で50回も新幹線で通ったといいます。

人の心を動かそうと思ったら、 少なくとも、 このぐらいの努力が必要なんです。

もちろん、熱意や努力だけではなく、 ビジネスですから、お金も必要です。 優秀な人を迎えるわけですから、 その評価に見合う報酬を用意する。

例え借金をしてでも、 自分の給料をゼロにしてでも、 雇うべき価値のある運命の人 というのがいるんです。

三顧の礼を尽くし、 十分な報酬を用意して、 それでも来てくれるとは限りません。 相手には相手の事情があります。

いまやっている仕事が充実していて、 一番面白いときで、自分がキーマンで、 離れるなんて考えられないんだ、 ということもあるでしょう。

あるいは、プライベートな事情で、 例えば、子供が多感な時期だとか、 来年受験だからとかで、 転職のような変化は当分避けたいんだ、 ということもあるでしょう。

そういうときは、 じっと気長に待つ姿勢も必要です。

いますぐは無理でも、 3年後でも、5年後でもいい、 なんなら10年後でもいいから、 いつか頼むよと。

ときどき会って、 ラブコールを送り続けることが重要です。

「継続は力なり」というように、 あなたは凄い、あなたが必要だ、 そういうことをずっと、 何年も言われ続けたら、 少しずつ、相手に対する信頼感が増して、 なんとなく愛着も湧くし、 情も感じるようになってくるでしょう。

お笑い芸人で小説を書いて、 芥川賞を獲った又吉直樹さんの エピソードを紹介しましょう。

又吉さんが、芸人として売れる前、 とある3人の出版社の方などから、 あなたには文章の才能がある、 魂がこもっている、 だから小説を書いて世に出すべきだ、 とアプローチされていたそうです。

当時の又吉さんは芸人の世界で 認められるために頑張っているときで、 なかなか小説を書く時間は とれなかったのですが、 その3人はずっと変わらずに、 又吉さんの才能を疑うことなく 何年も待ち続けてくれたのだそうです。

そして、芸人として成功して、 少し余裕が出てきて、 そろそろ小説を書いてみようか、 と思った頃に、 又吉は本好きで自分でも書くらしい という噂が広まって、 すると、大手の出版社や有名編集者から、 たくさんのオファーが来たそうです。

でも、又吉さんは、 自分がまだ何者でもなかった頃から、 自分の文章を評価して、 何年も何年も、待ち続けてくれた 3人の方のところで、 それぞれ一冊ずつ本を書いたといいます。

たぶん、原稿料は、 有名編集者の方がよかったのでしょう。 力ある編集者のほうが宣伝力も高いから、 売れる確率も高くなる。

でも、やっぱり、 何年もずっと自分のことを 見ていてくれた人たちのところで、 本を書きたかった。 それが人の持つ、 義理とか人情というものです。

ビジネスの世界も同じだと思います。

本当にこの人が必要だ、 と思ったのであれば、 5年でも、10年でも待つ覚悟で、 いつか機会が訪れることを信じて、 変わらぬ思いを伝え続ける。

自分に本当に覚悟があって、 そこまでのことをすれば、 たぶん、どんな人でも 口説けない人はいないと思います。

だとすれば、普段から 口説きたい人を探すことも重要です。 この人だったら、 何年かけても口説きたい、 そういう相手を見つける。

これは恋愛とは違って 別に一人じゃなくてもいいんです。 むしろ何人か見つけて、 月に1回ぐらいは会って、 いつかうちに来てくれと、 いつまでも待つからと、 口説き続ける。

経営者としての自分の夢を語って、 そのビジョンを実現するには、 君と二人でやらないとだめなんだと 言い続ける。 そういうことを5年、10年続けたら、 必ず機会は訪れると思います。

また、夢を語れる相手がいる ということ自体が、 自分のモチベーションを上げたり、 その相手を迎えるに恥ずかしくない 会社にしようという意識を生んで、 経営にプラスの要素になるのだと思います。

さぁこの一年、どんな人を口説いて 会社に向かい入れますか。

一人入るだけで会社は全てが変わります。 最高の一年にしていただければと思います。

岡田有史