もうやんカレー行列の秘密とは続編

こんにちは 経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。 銀座経営者倶楽部でご講演いただく、 辻智太郎社長の「もうやんカレー」の お話の続編です。 「もうやんカレー」は、 東京を中心に10店舗を展開するカレーの専門店で、 ランチはビッフェスタイルで、 1000円で提供していますが、 毎日行列ができていて、 芸能人も、タモリさんが毎週通うとか、 浅田真央ちゃんも大ファンだとか、 メディアにも数多く取り上げられている、 いま話題の大人気店です。 その成功の理由として、 単品に特化したビジネスであるということと、 辻さんが、自分の人生をかけてカレーを作っているという話を 紹介しました。 今回は、そのカレー作りへのこだわりの部分の話を さらに深く掘り下げて紹介します。 飲食店にしろ、小売店にしろ新規でお店をオープンすると、 最初の2週間というのは物珍しさもあって 比較的多くのお客様が来ます。 いわゆるオープン景気のようなものですが、 辻社長も当然それは期待しました。 でも、そのオープン景気を喜んでいるだけではだめだと。 その最初の2週間こそが勝負だと。 最初の2週間に来たお客様に、 「なんだ、こんなものか」と思われてしまったら、 そのお客様は、もう一生来ない。 オープン景気を大きなチャンスにするには、 最初の1回で、お客様を感動させて、 「うまいな」 「また来たいな」 「人に教えてあげよう」 そう思ってもらわないとだめなんだと。 また、 「もうやんカレー」のランチは 1000円のビッフェスタイルですが、 この1000円という価格は、 サラリーマンやOLのランチとしては、 特別安いという設定ではありません。 カレーというメニューを考えると、 恐らく、みんな500~600円で それなりに満足するものを食べてきたわけです。 そうした環境の中で、 1000円のカレーでお客様をうならせるには、 飛びぬけた味が必要になります。 だから辻さんは、 最初の2週間に全力を注ぐんだ、 と思ったといいます。 それこそ、最初の2週間は、 24時間、不眠不休でカレーを作り続けた。 朝から晩まで食材を炒め続けたといいます。 いまは、具材を壊さずに炒めることができる 機械が導入されているそうですが、 それでも手作業の部分はたくさんあって、 もうやんカレーを作る現場を見た取材スタッフの人からは、 まるで奴隷の仕事のように、延々と作り続けているんですね、 といわれたこともあるそうです。 でも、昔から本当の職人仕事というのは、 奴隷の仕事のようなものではないでしょうか。 一つの物を作り上げるのに、 その道に特化した技術を持った人が、 延々と同じことをやり続けることで、 人に真似のできない、唯一のものを作り上げることができる。 辻さんは、 そのことが肌でわかっていたのでしょう。 最初の2週間、会社に泊まり込みで、 手作業で、一切の手を抜かず、 全力で、奴隷のようにカレーを作り続けた。 そうしたら、お客様の心に響いて 大当たりしたんだと。 大当たりしたから、 最初の2週間が過ぎても、 ずっと同じ姿勢でカレーを作り続けている。 ただ、それだけなんです、 と辻さんはいいます。 でも、 その「それだけ」ということが、 簡単にできることではありません。 人生の全てを懸けるつもりで、 カレーを作れるかどうか。 自分の分身だと思えるほどの 何かを作り出せるかどうか。 それが成功するかどうかの分かれ目なんだと思います。 辻さんの凄いところは、 その人生を懸けて、自分の全力を出して カレーを作り上げることを、 「ただ、それだけ」と言って、 当たり前のことだと思って やり続けていることだと思います。 「当たり前」のレベルが、他店と比べて断然高い。 カレー単品に絞って、全精力をそこだけに注いでいる。 だからこそ、人を感動させるものが作れるのでしょう。 この精神は、 きっと、みなさまの世界にも 通じるものがあると思います。 何か一つのことに全精力を注いで、 唯一無二の物を作り上げる。 あるいは、サービスを作り上げる。 そういうことにチャレンジして、 自分のビジネスを一段階上のレベルに 昇華させるきっかけになれば幸いです。 岡田有史