ベッタリ作戦

こんにちは

経営者マーケティング研究所
代表の岡田有史(ゆうじ)です。

経営者の方からよく相談されることに、
売上先の偏りをなんとかしたいんだ、
ということがあります。

会社の売上の大半が特定のチャネルとか、
特定のお客様に集中しているんだと。

例えば売上の50%をあるお客様だけで占めている。
その仕事は利益率もいいし、内容もよくって、
自分の会社の社員も、やりがいを持って
取り組んでくれている。

でも、もしもその会社に何かがあって、
取り引きが一瞬で飛んでしまったら。
来月から売上の50%が消えてなくなる、
ということになったら、自分の会社の
経営は一瞬で成り立たなくなると。

だから、特定のお客様に依存している状態を
なんとかしなきゃいけないんじゃないか。
という悩みをお持ちの経営者の方が
数多くいらっしゃいます。

もちろん、経営者のみなさんが
何もしていないわけではなくて、
日頃から新規事業を模索したり、
新しいチャネルの開拓にチャレンジするとか、
依存状態を脱却するための努力はしています。
でも、やっぱりなかなかうまくいかない。

そういう時に、私が経営者の方に
よく提案していることがあります。

「ベッタリ作戦」と呼んでいるのですが、
一言で言えば、依存からの脱却とは、
真逆の考えの作戦です。

どういう作戦かといいますと、
売上の50%を占めるようなお客様がいるなら、
もっともっとそのお客様に寄り添っていく、
というものなんです。

具体的には、それまで以上に、
そのお客様を重視する経営戦略を採る、
そのお客様が喜ぶような商品を開発する、
そのお客様の利益につながるように、
サービスの内容を改良する。
徹底して、そのお客様にベッタリと張り付くことで、
お互いの関係性をより強固なものにしていくわけです。

経営者の方が、特定のお客様に依存した状態を
不安だな、嫌だなと思うのは、
相手に生殺与奪の権利を握られているから、
というのが大きな理由に一つです。

であれば、そのお客様にとことん張り付いて、
関係性をより深めていくことによって、
一方的な依存関係から、お客様にとっても
なくてはならない存在になってしまえばいい、
というのが、このベッタリ作戦の狙いの一つです。

そして、もう一つの狙いが、
お客さまとの関係性をより強固にすることで、
売上をさらに上げるということです。

なんでしたら、売上を倍にするぐらいの勢いで
そのお客様との関係を強くする。
売上を倍にして、利益も倍にする。

例えば、いままで1億円の利益が
出ていたならそれを2億にする。
さらに言えば、売上が倍になれば、
経費などが効率化されて、もしかすると
利益は3億になるかもしれません。

そこまでたどりつけば、
その3億の利益のうちの1億とか2億を使って、
新規事業の立ち上げや、新規チャネルの開拓に
思い切って投資できるようになります。

手の空いている部下に、
ちょっと新規事業を考えさせるとか、
そういうレベルではなくて、
経営戦略室を立ち上げて、
専属の社員を何人も投入して、
本当の本気で、新規事業に取り組むことが
できるようになるわけです。

漠然と依存体質を改善したいと思って、
中途半端に新規事業や新規チャネルを
模索するよりも、こうした方針のほうが、
より根本的な解決に結びつきやすいのです。

また、人間と言うのは、何か一つのことに
集中して取り組んだほうが絶対に力を出せます。

売上の50%を占めるお客様がいるということは、
その1点に会社の力を集中させるチャンスが
あるということで、それはメリットと捉えても
いいのではないでしょうか。

その仕事に全社員が一丸となって、
情熱をもって取り組むことで、
そのお客様にとってかけがえないのない存在になる。
それができれば、会社は一段上の
ステージに上がることができます。

この作戦は、個人事業主の方にも
同じことが言えると思います。

凄い人脈を持った人と知り合って、
その人の紹介だけで、仕事が回っているとしたら。
やはり、依存している気になって、
不安な気持ちが出てくると思います。

でも、そういうときほど、
むしろその人にベッタリと張り付いて、
その人に役に立てるように、
とことんその仕事を極めてみる。

そうすることで、単なる依存関係から、
ギブアンドテイクの関係に変わって、
相手の信頼関係が増していく。

その信頼関係が、
新たな出会いを呼び込むことに
つながるのだと思います。

こうして考えてみると、
ビジネスと言うのは、もしかしたら
恋愛関係に似たものなかもしれませんね。

相手とどっぷりと一対一の関係になって、
いかに相手にとってかけがえのない存在に
なれるのかを考える。
それがビジネスのコツなのかもしれません。

みなさまも、もし特定のお客様に依存しているな、
と感じることがありましたら、
このベッタリ作戦を思い出して、
経営の指針にしていただければと思います。

岡田有史