もったいないおばけと決別せよ
こんにちは
経営者マーケティング研究所
代表の岡田有史(ゆうじ)です。
ビジネスで最大の邪魔な思考は何か
と問われたら
「もったいない思考」
かもしれません。
みなさん
「頭では分かっているけれど、損切りができない」
とおっしゃいます。
我々経営コンサルタントは、
客観的、直感的に
「あ、それやめたら会社倍ぐらいになるな」
というのが一瞬で言い当てられることが多く、
やはりそれを断行して辞めることができる方が
ビジネスをどんどん伸ばされることが多々あります。
そもそも経営者の方も
おそらくそういう能力に長けているはずだし
第三者のことなら、
一秒で答えが分かるんだと思います。
だけど自分のことになると
意外に決断できない。
その事業にいくら投資してきたか
その後どれだけの時間を投下してきたか
また、その責任者とどれだけ語り合ってきたか
例えば社員についてもそうで、
その社員とどれだけ語りあってきたか、
どれだけ夢を共有してきたか。
ビジネス用語では
「サンクコスト(埋没コスト)」と言って、
すでに投下したコストのことを指します。
これは恋愛に置き換えてみるとわかりやすくて、
女性がある男性にどれだけコストをかけたのか。
時間をかけたのか。
だけど絶対これ以上はないなと思ったら、
どのタイミングで気持ちを切り替えられるのか、
と言うことを指すそうです。
でもなかなか気持ちを切り替えられないのは
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「コストをかければかけるほど
人間はそれにどんどん執着してしまう」
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という人間の心理的な原理からきているもので、
他人のことは笑えても
自分のことだけは何故か正しい判断ができないからです。
株だったり投資だったら
きっちりルールを決めてできることだったりするのに
意外にビジネスだと
そして自分事であればあるほど、
人材が絡むと、
情が絡むと、
どんなやり手の方でも
本当に全然判断が鈍ります。
自分だけは損をすることはない。
まだなんとかなるんじゃないか。
そんなに冷酷になる必要はないはずだ。
もちろんその選球眼は
経営トップなら
みなさん脱帽なぐらい選球眼に優れてる。
だけど
その過信から
大成功した人がその後大失敗したり
大社長がカジノで破産したり
銀座のママに全ての資産を大量に貢いでしまったり。
「オレだけはそういうことは絶対ない」
という人ほど失敗してしまう。
銀座経営者倶楽部でもよく
「しくじり社長」的なテーマで
お話いただくことが多いですが
その時に必ず話されるのが
この「ビジネスの損切り」のことです。
経営で大事なのは
大きく成功することではなくて、
大きく失敗しないこと。
そのためには
「勇気ある戦略的損切り」
が必須となります。
ビジネスでは
その一つのビジネスに突っ込みすぎるときが要注意で、
もちろん撤退は、
本当に悔しい。
だけど、
その悔しさをばねにするためにも、
どこかで一線を引かねばならない。
おそらくあと1000万つぎ込んだらラストだ、とか。
もうすでに10億投資してるのに捨てると言うのか、とか。
そういう状況に何度も直面してきたけど、
決断すべき時は、まさにそういう時です。
だけど、
今まで5000万つぎ込んでうまくいかなかった時点で
ちょっとそのビジネスとの相性が合わないのかも
と頭をよぎったとしても、
いや、絶対相性が合うんだ、
たまたまこのタイミングでは相性が合わないだけだ
と思ったりする。
そういうときに
「撤退」
そう言ってくれる第三者に出会えるか。
友人の縁がきれると思っても、
勇気をもって、
諭してくれる第三者に
出会うことも大事だし
そのときに素直に聞く耳を持てる
自分自身であることが大事になります。
人を雇うとき
新しいビジネスをするとき、
投資と同じように
必ず引き際の一線を決めてから
始めることが
ビジネスの猛者たちの英知だと思います。
「勇気ある戦略的損切り」
という最強の武器を
常に懐に忍ばせていただければ幸いです。
岡田有史