倒産自己破産から上場する秘訣

こんにちは

 

経営者マーケティング研究所

代表の岡田有史(ゆうじ)です。

 

弊社、銀座経営者倶楽部でご講演いただいた、

アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)の

オーナー社長・丸山雄平さんのお話を

みなさまにご紹介いたします。

 

ASJは住宅を建設する際に、

設計をする建築家と施工をする工務店、

そして発注をするクライアント、

この三者をつなぐ役割を担っている会社です。

 

といっても、ピンとこない方が多いかもしれませんね。

それもそのはずで、建築家というのは

基本的に個人事業であって、

それを束ねる組織のようなものはほとんど

存在していませんでした。

 

仕事の内容も、公共事業などの設計が主であって、

一般の方との接点は少なく、

個人で住宅の設計などを依頼したくても、

なかなか敷居が高く難しかったわけです。

 

しかし、価値観の多様化や、個人主義の進む現代では、

住宅メーカーなどのお仕着せの住宅ではなく、

自分の趣味・志向にあった住宅の設計を

建築家に設計してもらいたいという人も多くなっています。

 

そして、建築家自身も活躍の幅を広げるために

個人の住宅設計をもっとやりたいという人がいます。

 

丸山社長はその互いのニーズに目を付けて、

建築家と、一般のユーザーを結びつけるビジネスを始めた。

それが、建築家のネットワークを構築する

ASJという会社になったわけです。

 

その丸山社長の経営者人生は

まさに山あり谷ありの波乱万丈なものでした。

 

ASJを成功させる前には2つの会社を経営されていましたが、

それを倒産させてしまい、莫大な借金を背負ったそうです。

ただ、事業自体は回っていたので、

その事業を知り合いのIT企業に譲渡する形で守って、

丸山さん自身は、借金取りから逃げ回っていました。

 

すぐに自己破産したかったけど、

破産するとIT企業に譲渡した事業や資産が見つかってしまうので、

頑張って6年ぐらい逃げ続けていたそうです。

 

逃げている間は、ヤクザに追い込まれて、

全力で走って逃げて

引き離してからタクシーに飛び乗って

逃げきったこともあったそうです。

 

実家の田んぼや、

実家が権利を持っていた当時国営の郵便局まで

借金のかたに取られてしまって、

お兄さんに頼って、

実家の土地と家だけは取り戻してもらったけれども、

仏壇と家族の前で、

二度と経営はしませんと誓ったこともあったそうです。

 

それでも丸山さんは経営を諦めなかったんです。

そして逃げ続けている間に、

事業を譲渡したIT企業の顧問という立場で、

自分の事業を大きくして、

いまのASJの原型を作り上げたのです。

 

ただ、その時点の丸山さんは雇われの身で

ASJのオーナー社長ではありません。

ところが、そのあとIT企業のほうが傾いてしまって、

利益を上げ始めていたASJから

お金を10億円横流ししたそうです。

 

丸山さんは、事業を守ってもらった恩もあるので

10億を使われたことに文句はなかったのですが、

やがて横流しが露見してしまい、

IT企業の経営者は横領の罪を問われて経営権を失ったそうです。

 

一方で、ASJのほうも当時は負債があったので、

IT企業が保有していた80%ほどのASJの株式は

価値がゼロだということで、

実質的な創業者の丸山さんの元に戻って来たのだそうです。

そして丸山さんは、改めて自己破産の手続きをして

身を綺麗にして、ASJのオーナー社長となり、

そこからわずか4年で負債を全部返済して

ASJを上場させたのです。

 

倒産してヤクザに追い詰められたり、

実家に迷惑をかけて、

仏壇の前でご先祖様に二度と経営はしないと誓ったり、

10億円を横領されたり、自己破産したり、

それだけの目にあっても丸山さんは

諦めることなく事業を続けて、

ついには成功者となった。

 

その秘訣は何ですかと聞くと、

「超楽天家になることです」

と丸山さんはおっしゃいました。

 

悪いことは記憶せず、

何があっても、なんとかなるさ、

という気持ちで生きていく。

 

この生き方は現在でも同じだといいます。

 

この考え方は、

現在も深い付き合いがある建築家の大御所、

安藤忠雄さんから教わったそうです。

 

安藤さんは、7年ほど前に胆管がんを患って、

胃と十二指腸を取ってしまったそうです。

さらに3年後には転移が見つかって脾臓と膵臓も摘出して、

もう内臓がほとんど残ってないぐらいになった。

だけど、いまも凄く元気でいて、

本人に大丈夫なんですかと聞くと、

絶好調だよと答える。

歳をとっても、病気をしても、

絶好調でいる秘訣は、超楽天家であることだ

と安藤さんはおっしゃっているそうです。

 

安藤さんの生き方に感銘を受けた丸山さんは、

超楽天家になることを実践されています。

現在も事業で迷うことはたくさんあるそうです。

建築家の方達と仕事をしていると、

ときには壮大なスケールのビジネスの話もあって、

これは自分のところの手におえないかもしれない、

と思うこともあるそうですが、

まったくできないときは別として、

できるかどうかわからない、ぐらいのときは、

楽天的に考えて前に進むそうです。

 

もちろん、なんでもかんでも無謀な挑戦をしろ、

ということではありません。

でも、迷ったり、悩んだりして何もしないよりも、

なんとかなるさの精神で、前に進み続けたほうが

チャンスに遭遇する機会が増えます。

 

超楽天家になって、どんどん行動する。

みなさんも是非、取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

岡田有史