労力最小化至上主義

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

コンサルタントのお客様やセミナー会員の方に よく、お伝えしていることの一つに、

「売上の最大化よりも、 労力の最小化を目指しましょう」

ということがあります。

ここでいう労力の最小化とは、 生産現場の労働効率を上げて利益率を高める、 というような意味合いの話ではなく、 経営者や役員など、トップに立つ人たちにかかる 仕事上での負担を最小化するという意味です。

負担を減らすといっても、 経営者や役員は仕事量を減らして楽をしなさい、 といっているわけではありません。

必要以上に時間を取られることや、 精神的に悪い意味での負荷がかかること、 肉体的に限度を超えた負荷がかかることなど、 一言でいえば無駄な労力の最小化を目指しましょう ということなのです。

多くの経営者は、会社を成長させるためには 売上を上げることが最も重要なことで、 そのためには多少の労力がかかるのはやむを得ない、 そう考えていると思います。

そして、売上のためならば、経営層にとって 手間のかかる事業でもやっていくしかないと思っている。 その結果、例えば、役員がたびたび動かざるを得ないような 重大なクレームが発生するような事業であったり、 いろいろな調整のために、役員が飛び回らなければ いけないような事業などに手を染めてしまうのです。

そういう現場だけでは回っていかないような事業を いくつも抱えてしまうと、経営者は本来最も やらなければいけない業務ができなくなります。 5年先、10年先、50年先を見据えた事業計画を考えたり、 時代の変化に対応するための新規事業のアイデアを練ったり、 そういうことのための労力が制限されてしまうのです。

経営者本来の労力が制限された状態を続けていると、 目先の売上はよくても長続きはせず、 長い目で見ると会社の成長は望めません。

幸せな会社というものはどういうものかと言いますと、 経営者も役員も従業員も、無駄な労力を使わずに、 嫌だな、と思う仕事が最小化されていて、 役員も社員も全員が楽しく仕事ができる会社なのだと思います。

そういう会社にどうやってしていくか。 そのことを常々考えていくことが大事です。 例えば、イレギュラーの少ない業務フローにする、 考えなくても自動的にやっていけるように、 ルーティンワークに組み込んでしまうとか。

そういうことをどんどん進めていくと、 今日は何かヒマだったな、大した仕事をしていないな、 そんなふうに感じるような一日だったとしても、 実際にやった仕事を振り返ってみると、 実はもの凄い量の仕事をこなしていた という感じになっていきます。

極論でいえば、自分の限界能力の10%ぐらいの力で 仕事をやったとしても、一般的に求められる プロフェッショナルの仕事のレベルの 倍ぐらいの結果を出せるようになること、 それが仕事の一つの理想形なのです。

最小限の労力で仕事を回すこと。 その理想に向かって仕事をプランニングすること。 さらに、自分自身だけではなくて、 自分の会社の風土として根付かせていくことが すごく重要になってきます。

労力を最小化するということは、 自分の労力を無駄遣いしないということなんです。 100%の労力をつぎ込んで100の結果しか出ていないなら、 50%の労力で100の結果が出るようにする。 もっともっと突き詰めていけば、 10%の労力で200の結果だって出るんです。 そして、余った労力で経営者が本来やるべきことが できるようになります。

だから、労力を下げる工夫は常に考えるべき価値があります。 何か方法はないか、もっとほかにないか。 労力を半分にすることができたら、 さらに半分にできないだろうかと考える。

また、売上は立っているけど労力を使う業務を 切り捨てていくのも一つの方法です。 労力を使わない業務にフォーカスして、 労力を使わずに売上を伸ばすことを考えてみる。

そういう工夫で労力を半分にすることができれば、 同じ時間でいままでの倍の仕事ができるようになります。 さらに半分になれば、4倍の仕事ができるようになる。 1/10になれば、10倍の仕事ができるようになる。 しかも、その10倍はただの10倍じゃなく、 経営者としての本質的な仕事ができる時間が 10倍になるということ。 そうすると、出て来る結果は10倍どころか 20倍、30倍になっていくのです。

みなさまも、労力の最小化というテーマについて 是非、あらためて考えてみてください。 労力を半分にできないか、という問いを常に持って、 自分の仕事を一度すべて棚卸してみるのも 面白いのではないでしょうか。

岡田有史