教育は、ノウハウより情熱を伝える

こんにちは

経営者マーケティング研究所 代表の岡田有史(ゆうじ)です。

年度末が近づいてきますと、 4月から入って来る新入社員の研修は、 どんなことをやったらいいんだろう、 という話が経営者の間で盛んになります。

一般的には、すべての新入社員を集めて 社会人としての基礎的な研修を座学で行い、 そのあとは、配属を決めてOJTで教育していく、 あるいは、小さな会社でしたら、 いきなり現場に入れ込んでしまって、 先輩から教わりながら学んでいく、 というスタイルもあるでしょう。

しかし、現場で教育するだけだと、 どうしても目の前の仕事のことしか 覚えられなくて、会社の理念とか、 将来設計のようなことまでは、 考える余裕が得られないこともあります。

せっかく希望に満ち溢れていて、 若くて、癖もついていない、 まっさらの新入社員が入って来るのですから、 どうせならいろんなことを教え込んで、 大事に育てていきたい、 と多くの経営者が思っていると思います。

例えば、社長自らが毎週、月水金に 1時間ずつ研修して、社会人のイロハだとか、 業界のABCのようなことを教えるとか、 むしろ現場の技術のようなことよりも、 そういう考え方の部分をメインに研修している、 という会社もあるでしょう。

そういう時に参考になる図書を いくつか紹介しますと、

『入社1年目の教科書』 (岩瀬大輔著・ダイヤモンド社) http://amzn.asia/d/0Sqht9r

『未来を拓く君たちへ― なぜ、我々は「志」を抱いて生きるのか』 (田坂広志著・くもん出版) http://amzn.asia/d/1vJvziX

『思いが実現する 船井幸雄の60の言葉』 (佐藤芳直著・マガジンハウス) http://amzn.asia/d/bGCtxl5

などなど、いろいろな推薦図書が挙げられます。

あとは、カリスマ経営者として知られる 稲盛和夫さんの、

『生き方―人間として一番大切なこと』とか、 http://amzn.asia/d/6QRnu61 『京セラフィロソフィー』 http://amzn.asia/d/4mJxemz (サンマーク出版)

なども、優れたテキストになりますね。 こうした本を使って、みんなでワークする という研修方法も有効かと思います。

こうした、社会人としての基礎になるような 考え方とか、在り方とか、生き方、 そういうことを伝える。 そこに、具体的な仕事の技術が合わさって 初めて一人前の社会人になるんだと思います。

考え方の部分と仕事の技術というのは、 車の両輪のようなもので、どちらも大事。

そして、その両輪を支える車軸というか、 根本、土台になる部分というのは、 生きていく上での情熱とか、 仕事に向かっていく動機とか、 心が燃えあがるような気持ちの部分で あるように思います。

経営者としては、その土台の部分を いかに新入社員に伝えられるか、 ということが大事になってきます。

人の根源に関わる部分、 体の中から湧き上がってくる感情の部分を 教えるためには、それを伝える経営者自身が、 そうした感情を持っていないといけない。 理屈じゃなく、燃え上がるような情熱を 新入社員にぶつけていく、 ぐらいでないと思いは伝わりません。

例えば、経営者自身が、 本当に毎日、毎日、仕事が楽しくて、 ワクワクしながら仕事をしているなら、 その自分の体験談をひたすら語るだけでも、 十分にいい研修になると思います。

それが、なかなか毎日続けるのは難しい、 ということであれば、 自分を燃え上がらせて語るのに、 一つ、面白い方法があります。

私はよく、 「パワーパーソンに会おう」 ということを言います。

自分にとって本当にキーになるような人、 その人に会うだけで 一瞬で燃え上がることができるような、 本当に凄いパワーを持っている人、 それがパワーパーソンです。

例えば3ヵ月間の研修をするのであれば、 12週間、毎週一人のパワーパーソンに会う。 ちょっとした著名人とか、 業界のトップの社長とか、 尊敬している先輩とか、 あるいは、全然関係ない世界の プロフェッショナルな人でもいいです。 芸能人とか、プロ野球選手でもいい。

とにかく、自分が会って、 この人は凄いな、キラキラ輝いているな、 そう感じる人を見つけて会ってみる。

ちょっとランチをするとか、会食をするとか、 なんだったら、お茶とか、 立ち話程度でもいいんです。

そういう人と会って、言葉をかわせば、 何か自分の心の中に感じるものが 湧き出て来ると思うんですね。

自分はよくノウハウ(know-how)じゃなくて、 ノウフー(know-who)が大事だと言っています。

ノウハウというのは、how(どうする)を知ること。 ノウフーというのは、who(誰)を知ること。

成功した経営者は、ほぼ例外なく、 自分の人生に大きな影響を与えてくれた 恩人の名を挙げています。 人生で大事なのは、やっぱり最後は人なんだと。 人との出会い、つながり、絆が 自分の人生を支えてくれたといいます。

だから、 ワンウィーク、ワンパーソンで、 そしてワンパッションを得る。

毎週、自分に影響を与えてくれる人に会って、 その時に生まれた感情を語れば、 新入社員に何か大事なことが伝わるのでは ないかと思います。

人に会って、パッションを感じたら、 そのときすぐに、カフェに飛び込んだりして、 その気持ちを10行ぐらいに書き出してみる。 気持ちが熱いうちに、ガーっと勢いよく 一気に書き出してみて欲しいんです。

その熱い10行をもとにして、 新入社員に語ることを考えれば、 行間に魂が乗って、 きっと思いが新入社員に伝わるはずです。

それこそが、経営者が新入社員に 伝えるべきことなんじゃないかなと。 よく、背中で語るといいますが、 体の中から湧き出る情熱を語ることが、 背中で語るということの、 本当の意味じゃないかと思います。

岡田有史