超コラボのススメ

こんにちは

 

経営者マーケティング研究所

代表の岡田有史(ゆうじ)です。

 

弊社、銀座経営者倶楽部でご講演いただいた、

FiNC Technologies 会長 CWO・乗松文夫さんの

お話をみなさまにシェアいたします。

 

乗松さんが会長を務めるFiNC Technologiesは、

予防ヘルスケア×AI(人工知能)をコンセプトに、

最新のテクノロジーを駆使して、

人の心と体の健康をサポートする、

ヘルステックベンチャー企業です。

 

多岐にわたるサービスを展開していますが、

よく知られているのは、ヘルスケアアプリの「FiNC」で、

800万ダウンロードを達成している業界のトップブランドです。

 

また、FiNC Technologiesはその事業内容だけでなく、

会社の成り立ちに大きな特徴があります。

 

最新のテクノロジーを駆使するには、

多大な初期投資が必要になりますが、

そのための資金を第三者割当増資という手法で、

およそ40社もの名だたる大企業から、

これまでに累計で150億もの出資を受けて

成り立っている会社なのです。

 

優れた技術やアイデアを持つベンチャー企業が

大企業から出資を受けて事業を行う、

ということはよく見られることですが、

40社、150億という規模は、これまでにほとんど例がなく、

ベンチャービジネスに革新をもたらした会社といえます。

 

この革新を成し遂げた乗松さんは、

日本興業銀行(現みずほ銀行)の出身で、

みずほ銀行で常務まで務めた方です。

 

その乗松さんが、大手企業を

口説き落とすためにしたことは、

資金集めのプロを呼ぶことだったといいます。

 

そのプロという方は、乗松さんの元同僚で、

後にゴールドマンサックスに移って、

世界の第一線で莫大な資金を動かしているような、

ゴリゴリのやり手なんですね。

その一方で乗松さんは、人当たりがよくて、

謙虚で、どちらかといえば草食系だといいます。

 

そして、大企業を口説くときには、まず乗松さんが、

自身の経歴や人脈を活用してアポイントを取って、

最初の説明をしにいくわけです。

 

それで相手が興味を示して、

だけど最終的な決断はそう簡単にはできない、というときに、

ゴールドマンサックス出身の肉食系のプロが出て行って、

相手に食らいついて決断させて出資を取って来る。

そういうコンビネーションで、

名だたる大企業を数多く落としてきたといいます。

 

また、FiNC Technologiesでは、

企業から出資を募るだけではなく、

キャンペーンなどでさらに多くの企業とコラボしています。

 

コラボの代表例として、

サントリーの緑茶の

「伊右衛門 特茶(特定保健用食品)」が挙げられます。

これは、FiNC Technologiesのメイン事業の一つである、

ヘルスケアアプリ「FiNC」と特茶のコラボで、

様々な連動キャンペーンを展開するものです。

 

このコラボが大成功を収めたと言いますが、

その最大の理由がWIN-WINの関係だったことです。

 

まず、サントリー側としては、

いままで、特茶のような特定保健用食品の

主な購買層は中年男性だったといいます。

一方で「FiNC」の利用者層はヘルスケアに興味のある

若い人や女性などが多い。

つまり、コラボによってサントリーは

特茶の新たな購買層を開拓できるわけです。

 

FiNC Technologies側としては、

やはりサントリーの持つ強大なブランド力や

宣伝力が得られることがメリットです。

例えば、コラボでは特茶のテレビCMで、

「FiNC」との連動キャンペーンが宣伝されましたが、

このコストはすべてサントリー持ちだったといいます。

そして、その広告効果で、それまでヘルスケアに

さほど興味のなかった層の獲得も期待できるわけです。

 

WIN-WINの関係、という言葉はよく耳にしますが、

ここまで本当にお互いにメリットだらけの

WIN-WINというのは珍しいぐらいですね。

 

また、FiNC Technologiesのコラボ企画で凄いなと思ったのは、

出資関係に必要以上に制約されていないということでした。

 

例えば、FiNC Technologiesの出資者にテレビ局があります。

ところが、そのテレビ局とは別の出資者ではない局と

大掛かりなコラボをしているんですね。

 

普通は出資者のテレビ局に遠慮をして、

他局とのコラボというのは、なかなかできません。

でも、FiNC Technologiesでは、出資者を説得して、

納得してもらったうえで、

ライバル局とのコラボを実現させています。

 

他にも、例えば生命保険会社の出資企業は

第一生命、明治安田生命、SBI生命と3つもあるなど、

これまでの常識を打ち破る形で、多くの企業から

出資を受けたり、コラボを実現しています。

 

この既成概念にとらわれない姿勢こそが、

FiNC Technologiesのビジネスの独自性であり、

最大の強みになっていると思います。

 

こうした革新的なビジネスを実現させた秘訣を

乗松さんに聞いてみたところ、

「ATMだね」とおっしゃいました。

 

A(明るく)、T(楽しく)、M(前向きに)、

で「ATM」というのが、乗松さんのキーワードだと。

 

トップに立つ人間、リーダーシップを取る人間が

暗い顔をしていたり、深刻な表情をしていたら、

下の人間も委縮して、その能力は2割、3割減になってしまう。

トップが楽天的で、明るく、楽しく、前向きな姿勢を見せていれば、

それを見ている人間は120%の力が出せるんだ、

というのが、経営の秘訣だと言います。

 

乗松さんは、銀行員時代にアラスカ勤務を

命じられたことがあるそうです。

それも、倒産した企業の後始末をつけるという

つらい仕事だったそうです。

飛ばされたと言ってもいいかもしれません。

 

だけれども、乗松さんは持ち前の明るさで、

その仕事に前向きに取り組んだそうです。

ゴルフに行ったら、熊に追いかけられて、

命からがら逃げたこともあるそうですけど、

決してめげることはなかったと言います。

 

極寒の地でも「オーロラが綺麗だな」と前向きに捉えて、

与えられた仕事をやり遂げたところ、

その仕事ぶりが評価されて、日本に戻されて、

そこからは出世街道を走り続けたわけです。

 

銀座経営者倶楽部でお話される乗松さんは、

とても明るく、話術も巧みで、会場は爆笑の連続で

大盛り上がりでした。

この人間的な魅力のもとになっているのが、

ATMなんだろうなと実感させてくれました。

 

最後に乗松さんの教えをまとめますと、

 

1つ目は、

口説きのプロを連れて来たこと。

自分にない能力を持った人を連れて来ることで、

逆に、自分の能力を最大限に生かすことができた。

 

2つ目は、

真のWIN-WINのコラボを実現したこと。

欲しているものがマッチする真のコラボ相手を見つけて

口説き落としたことで、真のWIN-WIN関係を実現した。

 

3つ目は、

既成概念にとらわれず出資者を探したこと。

タブーを打ち破ったことで、これまでにない

圧倒的なビジネスモデルを確立した。

 

4つ目は、

ATM(明るく、楽しく、前向きに)。

逆境を前向きに捉えることでチャンスに変える。

そして、トップの姿勢が社員のやる気を作るということ。

 

以上の4点、みなさまも是非、自分に置き換えて、

参考にしていただければと思います。

 

岡田有史